公益社団法人日本リハビリテーション医学会のリハビリテーション科専門医とは、医師免許を持ち、リハビリテーション科が関与するすべての領域について、定められた卒後研修カリキュラムにより3年以上の研修を修め、症例報告など必要書類を提出し資格審査、及び専門医試験を合格した者が「リハビリテーション科専門医」となります。
日本リハビリテーション医学会によると、リハビリテーション科専門医は「病気や外傷により生じた障害を医学的に診断治療し、機能回復と社会復帰を総合的に提供する」専門の医師と定義されています。
リハビリテーション医学はチーム医療でありそれぞれの専門職(看護師やリハビリ職などのコメディカルスタッフ)が協力して治療を行います。またリハビリには急性期~回復期、維持期、在宅など様々な場面があり、それぞれで専門知識が必要とされるため、リハビリテーション科専門医は活躍の場が多岐にわたります。そのため、今後社会情勢がどのように変化しても必要とされる職業で、社会的なニーズも高いです。近年では予防医学の啓発にも力を入れており、これからより活動の場が拡大していくことでしょう。
専門医として認定を受けるためには、医師免許取得後5年以上の経験とリハビリテーション医学会加入後3年以上が経過している必要があります。
研修に関しては、学会の認定研修施設で3年以上の卒後研修を修了、もしくは日本リハビリテーション医学会が定める他基本領域(総合内科専門医、認定内科医、外科専門医、整形外科専門医)のいずれかで認定された施設で2年以上の研修を修了していなければなりません。
また、資格申請の為には、リハビリテーション科医学会で主演者の学会抄録が2篇を有しておくことも要綱に含まれています(1篇はリハビリテーション科医学会の秋季学術集会、もしくは地方学術集会でも可)。
実績の証明としては、自らが担当した症例リスト100例と30症例の症例報告も提出する必要があります。
受験を希望する際は、申請手続きとして学会ホームページ上から専門医認定審査書類の請求を申し込み、送信されたメールに記載されている口座に1500円を振り込む必要があります。振込後、学会所定の用紙と提出書類の手引きが登録先の住所へ送付されます。
提出書類に関しては①~④は必須で、以降は該当者のみとなっています。
① 事務局より送付された所定の用紙
(認定申請書、履歴書、研修報告書、研究業績一覧)
② 医師免許の写し
③ リハビリテーション科専門医研修帳(原本)
④ リハビリテーション研修証の写し
⑤ 研修会参加履歴
⑥ 配慮事項(再受験により筆記試験免除など)
⑦ 他基本領域専門医等の認定証の写し
提出方法は書類を一括して簡易書留で認定委員会に提出します。
書類審査料、及び受験料として50000円、専門医として合格し認定された際には登録料として20000円が必要となります。
2部制で2日間に渡って試験は実施されます。2019年度の場合では1日目に筆答試験(150問)、2日目に口頭試験が行われる予定です。筆記試験は多肢選択式でリハビリテーション医学・医療テキストや過去問題からも出題されているようです。
口頭試験は
分野A(脳卒中、脳性麻痺、神経・筋疾患、呼吸器、循環器など)
分野B(脊髄損傷、関節リウマチなどの骨関節疾、切断、悪性腫瘍や熱傷など)
の2分野に分けて実施されます。
専門医の更新には、日本リハビリテーション医学会、もしくは日本専門医機構でのいずれかで更新の手続きが行えます。専門医資格の更新には5年間に規定の200単位の履修に加えてそれぞれの様式での活動報告書が必要となります。
認定の更新が認められた場合は、日本リハビリテーション医学会の場合2万円、専門医機構で更新の場合は3万円を各学会に振り込み、規定の手続きを行う必要があります。
① 日本リハビリテーション医学会で更新する場合
専門医活動報告書、10例の診療実績証明書類、認定機関5年間での診療、研究、教育、社会活動の証明、活動実績(直近1年間で関わった患者の延べ数)
専門医活動報告書の手引き
http://www.jarm.or.jp/member/system/document/member_system_senmon_i_writing.pdf
② 日本専門医機構で更新する場合
更新申請書、80例の診療実績証明書、2例の診療証明書類
日本専門医機構で更新される場合は、日本リハビリテーション医学会のホームページに様式がWordにて提示されていますのでご確認ください。
特記事項として認定機関が2019年3月31日までは上記のどちらでも更新申請が行えますが、2024年以降に更新する際は機構専門医として更新しなければなりませんのでご注意ください。
※本記事は2018年10月時点のものです。詳細は学会のホームページをご参照ください。