一般的に、雇用契約締結時には、「労働契約」が結ばれます。雇用者が労働者に対して書面で労働条件を明示すべきということは、法律によって定められています。
医師の場合、医療施設側が作成してくれない、紹介会社が作成しないというケースによるトラブルが実際に発生しています。
また、有期労働契約 (期間を定めて締結された労働契約)では、「雇止め」をめぐるトラブルは大きな問題となっています。 一定期間雇用を継続したにもかかわらず、突然、契約更新をせずに期間満了をもって退職させる等のトラブルを防止するためにも法律の知識も持っておく必要があります。
医師の常勤転職、あるいは非常勤に関わらず、契約内容を確認することは、自分を守るためにも大切なことです。
労働契約の締結は年俸、勤務時間、勤務形態、休日、諸手当等の最終確認となり、これを締結した時点で、内容に納得して契約したということになるので内容をよく確認しましょう。
労働契約書では、雇用者としての権利と義務を確認するために、次の事項が書面に明示されているかチェックしておきましょう。
今回は上記の中で、勤務場所、勤務時間、勤務内容、賃金・手当について特に確認しておくと良い点についてお伝えします。
まず場所についてですが、勤務先の住所がしっかり明記されている必要があります。特に附属するクリニックなどで勤務を行う場合、勤務の可能性があるすべての施設名が明記されているかを確認しましょう。
勤務時間については、いまだに医師の労働時間がきちんと管理されておらず、実情は契約書の書面通りではないという医療機関も少なくありません。残業を未払いにするような違法行為を行う医療機関もあります。契約書に記載されていないからといって残業や呼び出しなどを拒否した場合に、人間関係や査定に響いてしまうというケースもあります。転職先の勤務時間に対する意識がどのようであるかはしっかり確認しておきましょう。
休日や休暇についても、聞きづらいところではありますが確認しておいたほうが後々のトラブルを防ぐことができます。
業務内容については「診療業務全般」というような書き方をされていることが多いですが、当直業務などについて事前に取り決めを行っている場合は、その内容を明確にしておきましょう。
「年棒何万円」と記載する医療機関が多いのですが、そこに各種手当は含まれているのかどうかはしっかり確認しておいたほうが良いポイントです。学会参加費用は負担されるのかどうかなど、書面に盛り込まれていない内容でも、疑問点があれば事前に確認しておくことで後々トラブルを防ぐことができます。