Twitter、インスタグラム、Facebook等、多くの方がSNSを日常的に使うようになっています。コミュニケーションや情報収集で、プライベートに限らずSNSを活用している医師も少なくないのではないでしょうか。しかし、配慮が足りなかったばかりに批判の的となってしまう、いわゆる「炎上」のリスクもあります。医師は責任がある立場なので、医師という立場からの発言はSNS上でもやはりいろいろと気をつける必要があります。
今回の記事では、SNSの使い方で気をつけた方が良いポイントをまとめました。
実名でやっている医師の場合、特に発言に気をつけなければなりませんが、「私は実名でやっていないから何でも言って大丈夫」といって油断できません。過去の投稿をさかのぼるなかで、いくつかの発言から勤務先が特定されるケースもあります。例えば中学校の先生がプライベートアカウントを作成しており、ニックネームでツイッターを利用していても、非公開にしていなかった場合、地名や学校関連のキーワードで学生にアカウントがばれたという事例もあります。医師の場合も、例えば、「今日は○○(病名)の患者が来た」とツイッターに投稿していたとして、その患者が病名をツイッターで検索していると見つかるというようなことが考えられます。
「人が写っていなかったら大丈夫」という感覚で病院や病室などの写真を投稿するのもNGです。また、近所のスーパーや最寄り駅など、関係ない場所の写真であっても、それらの写真を利用して医師の勤務先を特定されてしまうリスクがあります。家の窓から見える景色を撮影して掲載している人がいますが、その写真から居住地を特定されてしまうことだってあるのです。非公開アカウントでない限りは、写真にも気を配る必要があるといえるでしょう。
文面では誤解も生まれやすいため、「対応に疲れた」「手こずった」「大変だった」などの感想が、誹謗中傷と捉えられる可能性があります。第三者が発見して「こんなひどいことを言う医者がいる」などと取り上げるというケースもあります。ネットの拡散力は凄いので、あっという間に広まってしまいます。画面等を保存されていると削除しても残り続けてしまいます。何らかの方法で勤務先を特定され、クレームが入るというようなリスクもゼロではありません。使うには気軽なSNSであっても、医師としての立場からの発信はかなり慎重にしたほうが良いでしょう。
SNSは匿名で気軽に利用できる分、攻撃的な人や不正確な情報を垂れ流す人もいます。最近、医師専用SNSなども増えていますが、その中で意見が異なる医師とぶつかった際にコメント欄でもめて喧嘩になったり、SNSに依存するようになって逆にストレスを抱えてしまう人もいるようです。情報収集やコミュニケーションで使用するにはSNSは便利ですが、マイナス面も多く抱えているのでその点に気をつけましょう。
SNSは、不特定多数の同業者とつながれるということから、医師にとって意見交換やお互いを高め合う場として利用価値は高いと思いますが、その分リスクもあります。医師という立場でSNSを利用する場合は、愚痴こぼしやストレス発散というかたちではなく、適切な距離感で慎重に使用するのが賢明です。上記のようなポイントの他にも、SNSで思ったことをそのまますぐ書いてしまうのではなく投稿する前に読み直す、一度下書き保存してリアルタイム投稿を避けるなど、自身で工夫して活用すると良いかもしれません。