生涯現役で働くことを希望している勤務医師、セカンドキャリアを考えているシニアドクターに向けて、定年のタイミングや定年後の働き方、60歳以上のベテラン医師が働きやすい職場の特徴などについてご紹介します。
常勤医師の場合、国立病院や県立病院で勤務しているか、それとも民間の病院やクリニックで勤務しているかによって、定年の時期が違います。国立病院や県立病院に就業する公務員である場合、基本的に65歳で定年を迎えます。
民間の病院やクリニックの場合、病院に定年の規定があるかどうかで、それぞれに異なります。定年の規則が厳密にある場合は退職することになります。しかし医師不足の施設が多いため、勤務継続や非常勤での勤務となるケースもあります。医師側としても「慣れた環境で診療を続けたい」という理由から、雇用延長を選択するケースもあるようです。
全体的な傾向としては、「定年後は勤務日数を減らして非常勤医師として働きたい」「もう少し負担の少ない働き方ができる職場に変わり、家族との時間を大切にしたい」などの理由から、他の病院やクリニックで再就職するケースが多いようです。勤務医師が定年後に開業するというケースも、数は少ないですが存在します。
勤務医師がセカンドキャリアを考えるタイミングは、医局の場合40代後半から、外科の場合は50代など、状況によっても異なります。いずれの場合でも、体力や視力、集中力の低下といった理由から、若い頃と全く同じ働き方をするというのは現実的に難しいようです。しかしベテランの勤務医師は、現場での経験や長年に渡り培ってきたノウハウがあり、社会からの要請も強いため、一般的な職種より再就職が歓迎されやすいといえます。自身の強みを活かしながら、ライフスタイルや希望に合う働き方で、活躍できる職場を探すと良いでしょう。
60歳以上が働きやすい職種・職場として一般的に挙げられるのは、介護老人保健施設(老健)、健康診断、産業医、病院やクリニックの非常勤勤務などではないでしょうか。定年後に働きやすい職場の特徴としては、「身体的負荷が少ない」「緊急性が少ない」「自分のペースで勤務日数や勤務時間の都合を付けられる」などが挙げられます。シニアドクターの勤務形態は、週の半分はプライベートな時間を過ごせるようにしたり、フリーランスとして契約して勤務時間を選択するなどの事例があります。ただし、職場によっては想像していた以上に忙しく負担が大きいということもあり得るので、入職前の段階で職場の雰囲気をよく見て、どういう働き方をしたいかも明確に伝えておく必要があります。
現在は、どこの病院・クリニックも医師不足の傾向にあり、東京都や神奈川県など都心部では特に医師不足が深刻な問題となっています。近年では、医師向け求人サイトや紹介サービスなどでも非常勤医の求人募集が多くなっているそうです。医師向け求人サイトや紹介サービスを利用して、自身の職歴や技術、希望条件から施設を探し、定年後に働きやすそうな職場を探してみてはいかがでしょうか。今すぐに定年したいと思っているわけではなくても、定年後のキャリアプランについて計画的に考え、余裕を持って動いていくことが得策といえるでしょう。