【産業医の採用の必要性】採用までの流れと紹介会社の選び方

企業にとって、産業医の採用は法令遵守を行うことを目的とすると、何も生まれません。産業医の採用は、従業員の健康管理(メンタルを含む)や職場環境の向上、生産性に大きく寄与します。本記事では、産業医を採用するメリットや具体的な採用手順、導入後の活動プログラム、成功事例について詳しく解説します。

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1. 産業医の採用が必要な理由

目的

企業が産業医を採用する目的は、以下の3点です。

  1. 法律遵守とリスク軽減:労働安全衛生法では、従業員50名以上(アルバイト、派遣を含む)の企業に産業医の選任は義務となっています。未選任の場合、罰則があるだけでなく、労働環境改善の機会損失にもつながります。産業医が主体的に健康管理に関わることで法的リスクだけではなく、従業員の健康リスクが軽減され、職場の安心感も高まります。逆にいわゆる名義貸しは推奨できません。従業員の企業に対する不信を、わざわざお金を払って、買うことになります。誤解を生まない活動が重要です。
  2. 従業員の健康リスクと生産性管理:産業医は従業員の健康リスクを早期発見する仕組みの中心にいます。中小企業では産業医が1人で対策を提案する役割を果たします。例えば、定期健康診断やメンタルヘルス支援を行い、離職率や休職率等の生産性に対するKPIの数字向上という具体的な効果をもたらします。
  3. 在籍している従業員と、今後、在籍する従業員へのブランディング:企業が第三者である産業医と、従業員の健康管理に真剣に取り組む姿勢は、採用において、極めて重要です。大手広告代理店の従業員の自殺問題や、大手メディアの元従業員と元芸能人の問題も、企業の姿勢次第では発生しなかった可能性もあり、この姿勢については、今いる従業員だけではなく、未来の従業員に極めて重大な効用があります。

2. 産業医の採用手順

産業医を効果的に採用するためには、以下の4ステップを踏むとよいでしょう。

  1. 健康課題からの要件定義:自社の職場環境や健康課題から、要件定義を行います。システム開発では要件定義は極めて重要なことは認識されていますが、従業員の健康課題からの要件定義の重要性は、認識されていません。どんなに優秀な産業医をアサインしても、要件定義がない状態では、効果的な解決は極めて困難です。優秀なエンジニアがいても、要件定義が未熟だと、システム開発が失敗に終わる事例は世の中に多く存在します。産業医選定の前に、自社の場環境や健康課題に即した要件定義は必須です。
  2. 候補者リサーチ:地域の医師会のほか、民間の産業医を紹介する企業も多数あります。地域の医師会にも当然、良い産業医はいますが、医師から見た公平性を重視した案内がなされることが少なくなく、要件定義によって設定された課題を解決できる産業医であるかは不透明な場合があります。評価設定でしっかり評価することをお勧めします。民間の紹介会社で気をつけるべき点は、相場から著しく乖離した価格は一定のリスクがあります。例えば、全く未経験でしたり、訪問や稼働がなくても請求がされる等のトラブルも少なくありません。契約内容にも注視しましょう。
  3. 面談と条件調整:候補者の産業医と面談を行い、訪問頻度や対応内容、メンタルヘルス相談体制など具体的な条件を確認します。ただ、単に「面談経験がある」だけの医師を選ぶことは推奨できません。面談を通じて、どのように企業の健康管理体制に助言しているのか、医師のスタンス、会社の目標が産業医のスキルと経験が解決できるのかを見極めることがポイントです。
  4. 契約と導入説明:契約書には、産業医の役割や報酬、訪問頻度を明記します。業務開始前に導入説明会を実施し、従業員に産業医の役割や相談の方法を周知することで、相談しやすい環境を整えましょう。産業医に研修等を依頼し、従業員の認知活動の一環にすることもお勧めです。

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3. 成功のためのポイントと注意点

成功のポイント

  1. 役割分担の明確化:産業医、衛生管理者、産業保健師、企業の健康管理担当者との役割分担を明確にし、チームとして効果的に機能する体制を整えます。
  2. 定期評価とフィードバック:産業医が企業にどのように貢献しているかを評価し、必要に応じてフィードバックを行うことで、サービスの質を向上させます。また、一定数、従業員とコミュニケーションが合わないケースもあります。それはしっかりと医師に伝えるべきです。改善がなされない場合、変更することを念頭に置く会社が増えています。
  3. 経営層とのコミュニケーション:定期的な報告や経営層とのミーティングを通じて、企業全体で健康管理の重要性を共有します。従業員の健康やメンタルに関心の薄い経営陣も一定数います。この活動を「コスト」ではなく、「投資」として捉えて判断できるための材料を集めることが、人事に求められるケースが増えています。

注意点

  1. 個人情報保護:産業医は従業員の健康情報を扱うため、厳格なデータ管理とセキュリティ対策が必要です。就労判定の際、健康診断の結果の紙を郵送する等ありますが、あまりお勧めできません。デジタル化を進める方がリスクヘッジできます。
  2. 勤務時間の調整:企業の規模や業務量に応じた勤務時間設定が必要で、無理のないスケジュールを確保することで産業医のパフォーマンスが維持されます。
  3. コスト管理:産業医の報酬やプログラムの運用コストを事前に予算立てし、補助金制度の利用を検討するとよいでしょう。

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4. 導入プログラムと成功事例

導入プログラム

  1. メンタルヘルスケア:よく勘違いされる対応として、産業医への相談窓口を設置、ストレスチェックを定期的に実施することで、従業員のメンタルヘルスをサポートができると勘違いしている人事は少なくありません。カウンセリングやストレスチェックの実施で減りません。具体的には、復職プログラムによる再休職者対策と、研修や健康診断の事後措置による予防対策になります。
  2. 健康増進プログラム:健康教育セミナー、食生活指導、運動習慣の促進などの生活習慣改善の研修を行います。近年、自律神経を整えることの重要性が増しています。睡眠に悩む日本人も多数いるため、睡眠に関する研修は多くの企業で行われ始めています。
  3. リスク管理プログラム:危険業務従事者向けの特別健康管理や、定期的な職場巡視を通じて危険因子を早期に把握し、リスク管理を行います。職場要因で健康被害になることは徹底して避けなければなりません。

成功事例

IT業では、産業医とのメンタルヘルス支援プログラムを実施した結果、休職率が半減しました。さらに、従業員アンケートからも産業医への相談環境が整ったことで健康意識が向上し、離職率の低下につながりました。リモート勤務中のオンライン相談を実施し、メンタル不調の早期発見が進んだことで業務パフォーマンスが改善しました。

5. 産業医紹介会社の費用と選び方、注意点

費用

産業医紹介業者を利用する際、初回紹介手数料と月額契約料に大別されますが、近年は業者間での競争激化もされており、紹介手数料はないケースの方が多いです。人材紹介方式は大手企業が、産業医を雇用する場合に用いられ、特に製造業では多いですが、産業医の雇用はスキルやカルチャーのミスマッチも少なくなく、早期退職の事例も少なくありません。徐々に業務委託が増えているといのが、2025年現在の実情です。月額顧問料は概ね3万円/月(2ヶ月1回1時間訪問)、5万円(毎月1回1時間訪問)が相場です。医師の品質も大きく左右されるため、プレミアムを見込んで相場より高い契約を締結する場合、リスクは限定的になりますが、一方で、相場を大きく外れた契約、例えば、2万円/月(2ヶ月1回1時間訪問)や4万円(毎月1回1時間訪問)は、産業医のスキルは要注意です。

選び方

産業医紹介業者は、サポートの質と実績を基に選びます。近年、特にメンタルヘルスに課題を抱える企業は少なくありません。精神科医だからといって、職場のメンタルヘルスに強いとは言い切れません。メンタルヘルス支援や実行力のある健康経営実現に強い産業医を紹介できるか、またフォロー体制が充実しているかを確認し、希望条件を事前に明確に伝えましょう。

注意点

名義貸しのリスクを防ぐため、業者選定時に産業医の実績や訪問頻度が契約で明示されているか確認が必要です。名義貸しは実質的な健康管理を行わず、形式的に産業医が配置されたように見せる行為で、法的リスクが伴うため注意が必要です。

まとめ

産業医の採用は、メンタルヘルス対策、健康リスク管理、生産性を落とさないためには企業の重要な施策です。適切な産業医の選定と効果的な活動体制の整備により、従業員の健康意識向上や職場環境改善に大きく貢献できます。

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