産業医に関する賠償責任保険を徹底解説!

産業医は、より良い企業づくりを実現するために、労働者の健康管理や安全管理、職場の環境改善のために適切な指導や助言をする必要があります。

それと同時に大きな責任を伴う仕事になるため、産業医活動の中で事故が発生するリスクもあります。

ところで、産業医等活動賠償責任保険」という言葉を聞いたことのある方はいるでしょうか。

きっと多くの方にとって、馴染みのない保険の名前だと思います。

今回は、産業医等活動賠償責任保険の中身について触れてみたいと思います。

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1. 産業医等活動賠償責任保険とは

近年は保険加入が推進されることも増え、家電製品の購入や賃貸の契約等においても保険加入をすることが当たり前の世の中になりました。

産業医の必要性が高まり、特に従業員数50人を超えた時点で産業医を設置することが義務付けられているため、年々産業医を設置している企業は増加していることでしょう。

産業医等活動賠償責任保険とは

医療行為以外や、産業医が不適切な判断をしたことで何らかの不測の事態が発生し、損害賠償請求が発生した場合に、保険に加入しておけば保険金が支払われる仕組みです。

産業医とは

産業医とは、「その企業において労働者の健康管理をする医師」のことを指します。

産業医になるためには医師免許を所有していることはもちろん、その他にも特定の条件を有する必要があり、条件を満たした医師が産業医として認定されます。

産業医という言葉から、企業内で医療行為をするイメージがある方もいるかもしれませんが、産業医が携わることはあくまで、労働者の健康管理に携わる業務になります。
そのため、採血や投薬といった医療行為については、産業医という立場から行うことはしません。

産業医設置が必要なケース

産業医設置が必要なケースについて見ていきましょう。

【嘱託産業医の設置が必要なケース】

事業所で勤務する労働者数が50人以上、999人以下の事業所は、1名以上の「嘱託産業医」を設置する必要があります。

【専属産業医の設置が必要なケース】

事業所で勤務する労働者数が1,000人以上の企業は、1名以上の「専属産業医」を設置する義務があります。

3,000人以上の労働者を有する企業、有害業務に携わる労働者数が500人以上の企業の場合は、2名以上の専属産業医を設置する必要があります。

産業医の設置が必要であるにも関わらず選任しない場合、法律により罰せられるため、産業医設置が必要な状況になったら、速やかに産業医の選任をするよう注意しましょう。

保険加入が必要な理由

このように産業医は、企業にとって必要不可欠な存在になっています。

産業医は労働者たちと面談をした上で、適切な指導や助言をしていきます。
健康診断結果で「所見有り」と認められた労働者とも面談をし、就業制限や休職が必要な場合は意見書を作成します。

この際に誤った判断をしたことで、労働者の健康状態を悪化させてしまうケースもあります。
いざという時に、保険加入をしておけば安心とはよく言ったものですが、産業医を設置する際に産業医等活動賠償責任保険」に加入しておけば安心かもしれません。

2. 産業医等活動賠償責任保険の特徴

産業医等活動賠償責任保険の特徴とは、どういった点になるのでしょうか。

医療行為以外を保証

産業医等活動賠償責任保険の最大の特徴は、「医師賠償責任保険」では補償されない医療行為以外を保証する点にあります。

一般的に医師が病院やクリニックで処置する行為は「医療行為」になりますが、産業医が、企業で労働者に対して医療行為をすることはできません。

「医師賠償責任保険」は、医療行為をしたことで発生した不測事態に対し、患者の身体障害に対して保険金が支払われる仕組みになっています。

産業医選任に伴い、何らかの不測の事態が発生する可能性を考え、医師賠償責任保険の加入を考えている会社もあるかもしれません。

しかし、産業医は企業での医療行為を行わないため、医師賠償責任保険に加入することはできません。

その代わりに産業医を設置するときは、産業医等活動賠償責任保険に加入することができます。

対象となる場合

産業医等活動賠償責任保険は、産業医等の活動の場における、医療行為以外の行為で発生した事故において負担しなければならない、法律上の賠償責任を保証することが可能です。

法人のみならず、普段診療所で勤務している医師も無記名で被保険者にすることができますが、常に対象となる勤務医を把握できるようにしておく必要があります。

加入できる者(被保険者)

では次に、産業医等活動賠償責任保険に加入できるケースについて見てみましょう。

【個人契約の場合】

個人契約の場合は、産業医等の嘱託医個人が加入できます。

【診療所契約の場合】

診療所契約の場合は、診療所の開設者が加入できます。

対象になる活動

産業医に健康管理医、また、学校医や保育所などの児童福祉法に定められた嘱託医として活動している者が加入の対象になります。

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3. 産業医等活動賠償責任保険の支払い方法


産業医等活動賠償責任保険の支払い方法をあらかじめ把握しておくことで、いざという時に、冷静に対応できるかもしれません。

ここで支払方法について軽く触れてみましょう。

保険金が支払われる場合

産業医としての活動の場で発生した不測の事態について、診療所か産業医個人が法律上の賠償責任を負担することで被る損害に対し、保険金が支払われます。
もちろん、保険期間中のみ有効となるので、保険の期限には注意をしましょう。

保険金の種類

保険金の種類には、どういったものが存在するのでしょうか。

【損害賠償金】

法律上被害者に支払う賠償金となり、治療費や慰謝料、修理費等がそれに該当します。この保険金の種類がより一般的かもしれません。

【争訟費用】

告訴や調停、示談等になった場合、弁護士報酬等の費用として支払われる保険金になりますが、この場合は引受保険会社の書面同意が必要になります。

【賠償責任がないと判断された場合の費用】

賠償責任がないと判断された場合に応急手当や護送、その他の緊急措置に要した費用および、あらかじめ引受保険会社が書面で同意した費用がこれに該当します。

【引受保険会社の協力のため支出した費用】

引受保険会社が被保険者の代わりに賠償請求の解決に当たる際、引受保険会社に協力のため支払った費用が該当します。

【他人から損害賠償を受けられる場合に支出した費用】

損害賠償を受けられる場合に権利の保全や行使手続き、もしくは既に発生した事故に関わる損害発生や拡大防止のため、引受保険会社の書面同意を得て支出した必要または有益な費用になります。

支払い方法

【損害賠償金の場合】

損害賠償金は支払限度額を定めて保険金が支払われますが、限度額については被保険者1名ごとに適応されます。

【その他の場合】

損害賠償金以外の費用については基本的に、全額が支払い対象になってきます。
争訟費用については、損害賠償金が支払限度額を超えた場合、「支払い限度額÷損害賠償金」の割合により削減して保険金が支払われます。

産業医等活動賠償責任保険は発生した事故のケースにより、保険金の種類や支払い方法が異なってきます。

不安な点や確認しておきたい点があれば、保険会社側に確認しておきましょう。

対象にならないパターン

産業医等活動賠償責任保険の支払い対象にならない場合は、以下の通りになります。

  • 医療行為をした場合
  • 故意もしくは重過失による履行不能、履行遅滞の場合
  • 産業医等の嘱託医業務の履行の追完または再履行、業務結果自体の改善もしくは修補または業務に関する対価の返還等

4. 産業医等活動賠償責任保険の必要性

日本医師会では、2016年7月から産業医・学校医等の医師活動賠償責任補償の拡充がされました。

内容として、産業医・学校医等の活動の場において発生した不測の事故につき、補償(保険金支払い)をする、というものになります。

労働安全衛生法に基づいた新たな健康管理制度として、「ストレスチェック制度」が導入され、50人以上の労働者を抱える事業所では年に1回、ストレスチェックの実施をすることが義務付けられました。

このことから、産業医の役割がこれまで以上に重要になったと言えるでしょう。

産業医の重要性

産業医は50人以上の労働者が勤務する企業に選任する義務がありますが、50人以下の事業所の場合も、「助成金制度」を活用することで産業医を選任することができます。

それだけ産業医は重要な存在になっていますが、その背景に労働者のストレス問題やメンタルヘルス問題等があります。
特に過重労働による過労死や過労自殺はあってはならない事態なので、産業医が適切な対応をして、このような事態を起こさないようにする必要があります。

産業医は、過重労働やストレス問題に直面している労働者に対して、改善に向けての助言や指導をしますが、しかし時として誤った助言や指導、判断をするケースも考えられるでしょう。
そのような場合に発生した不測事態を想定すると、産業医等活動賠償責任保険に加入しておけば、いざという時に安心かもしれません。

万が一の時に備えて

転ばぬ先の杖とは言いますが、産業医設置に伴い、産業医等活動賠償責任保険に加入しておけば保険加入をしない場合よりも当然安心でしょう。
不安がある場合は保険への加入を検討しましょう。

事故を防止するためには

いざという時のために、産業医等活動賠償責任保険に加入しておくことはもちろん、事故のリスクを減らすためには、より優秀な産業医を選任することが大切です。

労働者に寄り添いながら適切な指導や助言、判断ができる産業医を選任することが事故を防止すると同時に、労働者の健康管理や安全管理において重要になってきます。

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