企業の健康経営に関心が集まるなか、健康経営アドバイザーという資格をご存知でしょうか。健康経営に取り組む企業が増えており、健康経営アドバイザーの必要性も高まっています。
本記事では、健康経営アドバイザーの概要や取得、メリット、業務内容などをご説明します。区別がつきにくい産業医との違いも取り上げました。健康経営に取り組む際は、ぜひ参考にしてください。
健康経営優良法人認定を取得したいけど、具体的にどう進めればいいかわからない…とお悩みではないでしょうか?
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健康経営アドバイザーとは
健康経営アドバイザーとは、東京商工会議所が経済産業省からの委託を受けて2016年に誕生した資格です。健康経営アドバイザーは、健康経営の必要性を伝えて実施のきっかけを作る人材育成の研修プログラムとなっています。
日本が抱える構造的な課題など健康経営に注目が集まる背景や健康経営への具体的な取り組み、メリット、実践ポイントなどを学ぶことが可能です。
経済産業省は健康経営を承認しており、従業員が健康であることが企業にとって経済面でもいい効果を与えるとしています。そのなかで健康経営アドバイザーは健康経営に必要な知識を身につけていることから、企業に欠かせない存在といえるでしょう。
健康経営エキスパートアドバイザーとは
健康経営エキスパートアドバイザーは、健康経営アドバイザーの上位資格です。
健康経営エキスパートアドバイザーになるには、
1.健康経営アドバイザー認定者であることと、2.所定の有資格者または所定の実務経験者であることを求められます。
健康経営アドバイザーよりも、健康経営に取り組む上で企業等により具体的な提案と実践をサポートしてくれることが特長です。
健康経営アドバイザーのメリット
健康経営アドバイザーを企業に配置することで、企業全体に健康経営を浸透させることが可能です。健康経営アドバイザーの的確なアドバイスによって企業全体の意識が高まっていくでしょう。
また、取引先などの顧客に対しての付加価値を提供できます。例えば、顧客のもとで営業をする場合に健康経営アドバイザーであれば、提供できるサービスに信憑性がでてきます。ちなみに、東京商工会議所が管轄する健康経営エキスパートアドバイザーを取得すると、東京商工会議所のホームページに氏名が掲載されます。
自社の商品やサービスに絡めて説得力をだしたいときは、健康経営アドバイザーに加えて健康経営エキスパートの取得も検討してみるといいでしょう。
他にも健康経営アドバイザーによって、従業員の健康意識を高めることが可能です。社内で健康経営アドバイザーの資格を取得した従業員が入れば助言をもとに健康に関する取り組みがしやすいです。
従業員の健康増進が図れると、働きやすい会社として離職率の低下などにつながります。
健康経営アドバイザーを取得する方法・試験難易度・申し込み方法を説明
健康経営アドバイザーを取得する方法は、東京商工会議所が開催する研修を受講し、効果測定で一定基準を満たすことです。
取得に関しての概要を簡単にまとめましたので、以下をご覧ください。
研修方法 | eラーニング研修(インターネットを通じた学習) |
---|---|
申し込み方法 | インターネットからの受付 |
受講料金 | 8,800円(税込、テキスト代含む) |
認定 | 研修を受講して、効果測定が7割以上 (認定者は名刺等に健康経営アドバイザーと記載できます) |
認定期間 | 認定年月日より2年間(更新には再受講が必要) |
eラーニングによる受講時間は約2時間20分であり、その後、効果測定に移ります。
効果測定は利用期間内であれば何度でも受講可能です。
なお、効果測定は4肢択一式で10問が出題されます。
難易度
健康経営アドバイザーの効果測定は、受講動画とテキストから出題されます。
難易度はそれほど高くなく、きちんと勉強していれば合格できます。
受講可能期間
健康経営アドバイザー研修の受講可能期間は、決済完了日から120日間です。
期間を過ぎると、動画の視聴、および効果測定ができなくなり、再申し込みが必要になります。
更新期間
健康経営アドバイザーの更新申請は、有効期限(2年間)までに行いましょう。
認定期間中に更新がされないと失効扱いとなってしまうため、注意が必要です。
健康経営アドバイザーの資格取得までの流れ
健康経営アドバイザーの資格取得は以下のような流れで進めていきます。
ウェブで申し込み
まず東京商工会議所の受験者専用サイトから申し込みを行います。
個人、もしくは団体(5名以上)での申し込みができます。
初めて受験をする場合は、ログインIDとパスワードを取得し、マイページを作成しましょう。
規約に同意後、画面に沿って申込内容を入力していきます。
なお、支払い方法は、
- クレジットカード
- コンビニエンスストア
- Pay-easy(ペイジー)
に対応しています(※)。
※2023年6月時点:参考:CBT/PBT試験 受験者ポータルサイト受験者専用サイト
申し込みが完了すると、テキストが発送されます。
eラーニング研修を受講する
申し込みが済んだら、お手持ちのPC・タブレット・スマートフォンからeラーニング研修を受講します。
研修内容は、健康経営の必要性や課題、実践するときのポイントなどです。
後日送られてくるテキストも参考にし、効果測定に向けて対策を行いましょう。
効果測定を受ける
研修修了後、マイーページから効果測定を受けます。
受講可能期間(決済完了日から120日間)のあいだは、合格するまで何度でも受講可能です。
健康経営アドバイザーの「認定」を受けるには、効果測定で7割以上正解する必要があります。
認定
一定の基準を満たし「健康経営アドバイザー」として認定されると、マイページから認定証のダウンロードができるようになります。
また、名刺や紹介文などに「健康経営アドバイザー」と載せられるようになります。
健康経営アドバイザーが行う3つの業務内容
健康経営アドバイザーは主に3つの業務を担当します。それぞれの業務内容についてみていきましょう。
健康経営への課題抽出
まずは健康経営に取り組むにあたって課題を抽出していきます。健康経営は従業員の健康管理や健康増進に努める点ではどの企業も同じです。しかしながら、企業ごとに従業員の健康に関する課題は異なります。
例えば、IT企業と運輸業では課題が違います。IT企業はどちらかというと肉体的な不調よりも精神面で不調に陥ることが考えられます。運輸業であれば長時間労働や体力的な仕事であることから、肉体的な面での不調が起こりやすいでしょう。
こういった企業ごとの課題を従業員が受診する健康診断やストレスチェックなどをもとに、ヒアリングすることが求められます。
計画立案・実施
従業員からのヒアリングをもとに課題を抽出したら対応策を検討します。課題を改善するために具体的に何をするのか考えることも健康経営アドバイザーの仕事です。
「運動機会を増やすために会社内サークルを立ち上げる」「社員食堂のメニューのカロリーを見直す」など、より具体的な対応策を検討します。
また、ここで重要になるのがKPIの設計です。KPIとは最終的なゴールに向けたプロセスを数値化することです。いくら改善策を考えてもプロセスを数値化しなければ、目標に向かっているのかわかりにくいものです。
ひいては経営陣が数値として結果が見えない事業に資金を投じたくないでしょう。「週1回のサークル活動」「社員食堂のメニューで200kcal削減する」などKPIの設定も求められます。
実施後のフォロー
健康経営の計画を実施して終わりではありません。そもそも、計画を実施してもすぐに効果が現れるケースが少なく、中長期的な取り組みが必要です。
健康経営への取り組みを進めるなかでも計画とズレてきたら軌道修正が必要です。健康経営アドバイザーは常に取り組みの進捗を確認して、PDCAサイクルを回しつつフォローしていく役割があります。
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健康経営アドバイザーと産業医の3つの違い
ここまで健康経営アドバイザーについてご説明しましたが「産業医と役割が似ている」「何が違うの?」と感じている方もいるでしょう。健康経営アドバイザーと産業医の違いはわかりにくいものです。ここでは3つの視点から両者の違いをご説明します。
設置の義務
まず設置の義務に関して、健康経営アドバイザーは任意での設置です。一方の産業医は一定要件以上の企業であれば設置の義務があります。産業医の設置が義務となるのは以下の要件を満たしている企業です。
・労働者数50人以上3,000人以下 → 1名以上の配置(選任)
・労働者数3,001人以上 → 2名以上の配置(選任)
さらに常時1,000人以上の労働者を使用する場合、労働安全衛生規則による業務に常時500人以上の労働者を従事させる場合も産業医の配置が必要です。
参考:産業医について
業務内容
業務内容においても両者に違いがあります。健康経営アドバイザーは、健康経営に関しての施策実施や実施後のフォローまでを業務としています。あくまでも経営的な視点で健康経営に携わります。
一方の産業医は医師という専門的な立場から施策実施に携わります。従業員の健康診断やストレスチェックをもとに個人により具体的なアドバイスを行う立場です。また、施策実施後の面談や定期的な職場巡視などから健康経営の取り組みを理想に近づけます。
取得難易度
健康経営アドバイザーは東京商工会議所が実施する研修プログラムを受講して効果測定を通過すれば取得できる資格です。一方の産業医は医師の国家資格に合格していることが前提です。
健康経営アドバイザーと医師の国家資格を比較すると、後者のほうが難易度が高いです。また、全ての医師が産業医の資格を有しているわけではありません。そう考えると難易度の違いが分かるのではないでしょうか。
まとめ
健康経営アドバイザーは、東京商工会議所が管轄する資格です。健康経営に関しての知識を身につけ、具体的な施策を考えて実行する役割があります。健康経営に携わる人材としては産業医と同じですが、両者には違いもみられます。
産業医との違いも把握しながら健康経営に向けて健康経営アドバイザーを配置してはどうでしょうか。なお、健康経営には産業医も不可欠な存在です。産業医の配置も併せて行ってみてください。
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