産業医によるオンライン面談は可能?注意点や安全衛生委員会のオンライン化についても解説

オンライン会議にオンライン飲み会、テレワーク等、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、オンラインを介した働き方や交流が一般的なものになりました。そう考えれば、通常対面で実施される産業医との面談をオンラインへ切り替えることも可能だと感じるかもしれません。

今回は、産業医とのオンライン面談について、またその際の注意点に着目して解説します。オンラインを最大限に活用するという意味でも、参考にされてみてはいかがでしょうか?

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医師のオンライン面談

産業医のオンライン面談については、あまり聞いたことのない方が多いと思いますので、まず初めに臨床医のオンライン「診療」の現状についてご紹介します。

2020年4月10日より初診からオンライン診療が可能に

以前から医師によるオンライン診療は可能でしたが、あまり一般的ではありませんでした。

けれども新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、テレワークが推進されると同時に、厚生労働省は2020年4月10日より、コロナ収束までの時限的・特例的な措置として、初診も含めたオンライン診療の実施を解禁しました。

直接医療機関へ赴かなくてもオンライン診療をしてもらうことが初診でも可能となったことは、対面診療や待合室でのウイルス感染リスクをなくす対策として有効な診療の方法と言えます。

オンライン診療を受けるためには、事前にオンライン診療に対応している病院・医院を探す必要があります。診療可能な医療機関につきましては、厚生労働省のサイトから確認できます。

かかりつけの医療機関がある場合は、そこがオンライン診療に対応しているか確認しましょう。かかりつけの医療機関がない場合は、オンライン診療に対応している最寄りの医療機関を探す必要があります。

直接医療機関まで赴くことが困難な方には、訪問診療が活用されてきましたが、オンライン診療は保険診療として認められてから日も浅く、これまでほとんど浸透していませんでした。

新型コロナウイルス感染症の拡大によってテレワークやオンライン会議などが社会の中で浸透してきた今、オンライン診療もひとつの診療方法として注目を集めつつあります。

産業医のオンライン面談は未整備の段階。

新型コロナウイルス感染症が世界中に広まった影響から、テレワークを導入する企業が増加し、今ではテレワークという言葉も当たり前になっています。

産業医のオンライン面談

2015年9月、産業保健における遠隔での面接指導実施の要件について示されています。

この法令によると、対象者として明示されているのは「長時間労働者」と「ストレスチェック事後面談」に限られています。

また、衛生委員会で調査審議し、事前に労働者に周知をする必要もあります。そのうえで、産業医とオンライン面談をすることは可能ですが、その場合は以下のいずれかの要件を満たす産業医でなくてはなりません。

実施医師の条件(いずれかに該当している)

  • 対象労働者が所属する事業場の産業医
  • 過去1年以上、対象事業場の健康管理を担当
  • 過去1年以内に、対象者のいる職場を巡視した
  • 過去1年以内に、対象者と直接対面で指導した

条件だけであれば産業医とのオンライン面談はハードルが低いかもしれませんが、スムーズな実施は難しいでしょう。オンライン面談について定められていることは上記法令程度であり、曖昧な部分もみられます。

産業医のオンライン面談の実施について、対象者は記載されていますが、それ以外の面談者(面談希望者や健康指導、休職者や復職希望者など)とのオンライン面談については、触れられていません。

2019年7月に厚生労働省より発出された「オンライン診療の適切な実施に関する指針:一部改訂」によると、「労働安全衛生法に基づき産業医が行う業務(面接指導、保健指導、健康相談など)」は「遠隔健康医療相談」に整理されており、同指針の内容は該当しません。

少なくとも、「長時間労働者」と「ストレスチェック事後面談」以外の産業医面談であっても、「医師法」に抵触することはないと解釈できます。

産業医とオンライン面談ができることは、あまり周知されておらず、それ故に面談希望者が少ない可能性があります。実施する場合は衛生委員会で必要性や意義を審議し、事前に労働者に周知するようにしましょう。

現時点ではオンライン面談に対応した産業医は多くない

現在、新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、オンライン面談に関心を持つ産業医は多く、オンライン面談を開始させたという産業医も存在します。しかし2020年9月の時点では、いまだにオンライン面談の実施件数は多くありません。

産業医のオンライン面談は多くの企業で導入したばかりであり、まだルールや手順が定まっておらず、従業員への周知も不十分なのが現状です。通勤を含む外出の自粛や3密を避けるという意味でも、オンライン面談にはこれからも関心が集まるでしょう。

今後の課題

産業医のオンライン面談のルールや手順を明確化することや、認知度を上げるための対策は、今後需要を増します。テレワークが一般的な働き方として注目されている今、産業医とのオンライン面談は健康管理方法の要になるでしょう。

オンライン面談は、従業員が職場外で受けられるメリットがあります。産業医との面談をオンライン化することで、休職者はこれまで以上に面談を受けやすくなるでしょう。

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産業医とオンライン面談を利用する際の注意点

産業医とオンライン面談をしたい従業員も多いでしょうが、当日になって「対応不可能」となってしまっては、本末転倒です。そのような事態を回避するためにも、注意点についてしっかりと把握しておきましょう。

まずは産業医や自分の事業所にオンライン面談が可能な相談する

オンライン面談はまだ一般的ではないため、産業医によってはオンライン面談を実施したことがない場合や、面談の内容によってはオンラインで実施できない場合があります。

面談希望者であれば誰でもオンラインに対応する産業医も存在すれば、高ストレス者・長時間労働者以外でなければオンラインに対応しない産業医もいるでしょう。

オンライン対応が可能な相談をするためにも、対応している相談内容について、産業医や事業所に事前に確認しておきましょう。

顔色や表情チェックのためにもビデオ通話ができるツールや環境が必要

産業医とのオンライン面談は音声のみの通話だけでは認められず、テレビ電話ができる環境が必要です。産業医は相手の動作や仕草、表情や顔色を見ることで、より適切な判断・助言・指導をしていくことが可能となります。

映像や音声、通信状況の安定

オンライン面談をするためには、従業員の声や表情などの確認ができ、その上で必要な指導や助言が実施できる環境である必要があります。そのため、通信状況の安定さや映像や音声を確認できる状況は必須です。

また、身体的・精神的な緊急事態の発生において対応できる環境を整える必要もあるため、近隣の医師と連携を取ることも大切です。

情報セキュリティの確保

面談実施に伴い、個人情報保護のためにも情報セキュリティの確保が重要です。例えば面談の内容が第三者の目に触れることのないよう、情報セキュリティを十分確保することが大切です。

機器操作が可能

機器操作が困難であれば面談が実施できない可能性がある上、面談者がテクノストレスを感じてしまうリスクも考えられます。オンライン面談をする際には、面談者が容易に情報通信機器の操作ができる環境であることが重要です。ビデオ会話のできるツールはパソコンやスマートフォン、タブレットからダウンロードすることが可能です。

事業所や産業医側が特定のツールやデバイスを指示する場合もあると思います。または独自でダウンロードして使うことに対しても、パソコンやスマートフォン、タブレット操作に慣れた従業員であれば容易に操作することが可能でしょう。当日になって操作が分からないことや対応ソフトをダウンロードしていなくて慌てることのないよう、従業員に事前準備を呼びかけておくことも大切です。

オンライン面談が可能なことを従業員に周知しておく

産業医とオンラインで診療を受けることができても、それを従業員が周知していなかった場合、面談を受けることができません。長時間労働者や高ストレス者に対してはもちろんですが、全従業員に対し、準備の上で産業医とオンライン面談が可能となることを周知する必要があります。

周知する方法として、情報機器を介する場合であればオンライン会議やチャット機能、社内メールなどが存在します。特に、産業医とのオンライン面談をする可能性が高い長時間労働者や高ストレス者には、通知が行き渡るように考慮しましょう。産業医との面談がオンライン化することで従業員も面談を受けやすくなり、コロナストレスが懸念される今だからこそ、健康管理上の情報や注意事項にアクセスしやすくすることが大切ではないでしょうか。

産業医とのオンライン面接ができない場合の対応策

それでも産業医や事業所の都合により、オンライン面談ができない場合も考えられます。そうなった場合、産業医との面談はどのポイントに気を付けて実施すれば良いのでしょうか?

十分な手指消毒・換気を行いながら対面での診療・面談を行う

産業医の面談が必要だけれどオンラインでは対応していない場合、通常の「対面型面談」をします。

新型コロナウイルス感染症予防対策として、以下のような点に注意しましょう。

  • 面談前には15秒以上の手洗いやうがい
  • アルコール消毒
  • 時間に2回以上数分の換気
  • 産業医との間に2メートル以上の間隔を取るマスクを正しく着用

産業医は他の従業員との面談も実施しているほか、通常医師として医療機関に勤務している者も多いため、感染リスクも高くなっています。

面談後も、手洗いやうがいなどの基本的な予防対策を忘れないようにしましょう。

新型コロナウイルス感染症予防については、厚生省のサイトに紹介されています。面接の前後に改めて確認しておきましょう。エチケットを守り、ウイルス感染拡大を防止することが大切です。

発熱がある場合は産業医との面談を控える

面談前には体温測定することが大切ですが、仮に発熱がある場合は厚生労働省帰国者・接触者相談センターに連絡しましょう。新型コロナウイルスに感染しているかどうか分からない場合は、産業医や同僚への感染拡大リスクがある行為は避けるべきです。産業医との面談は体調が万全である時期に設定し、発熱があった場合は回復に向けて療養をしましょう。

なお、医療機関を直接受診される場合は、交通手段、待合室や受診の際に十分注意する必要があります。

産業医の面談以外もオンライン化は可能?

安全衛生委員会は、従業員数50名以上の事業所において毎月1回以上の実施が義務づけられています。厚生労働省労働基準局は2020年8月に安全衛生委員会の実施について、 テレビ電話や留意事項を定めたうえでの電子メールでの対応も可能とする通知を発出しています。

新型コロナウイルス感染症への対応であることはもちろんですが、オンライン化することで従業員や産業医がこれまで以上に参加しやすくなります。産業医にとって安全衛生委員会への参加は重要な業務であり、近年では産業医の安全委員会参加率も増加傾向にあるといわれております。

一方、産業医の都合が合わなく不参加となった場合は、その際作成された議事録に目を通し、コメントをする必要があります。これまで安全衛生委員会のための日程調整が困難だった場合でも、安全衛生委員会のオンライン化により参加しやすくなります。

産業医が安全衛生委員会に参加して積極的な関与を行い、課題に応じた適切な助言や指導をすることが大切です。

産業医からの「社内講和」が安全衛生委員会内で行われるケースもあるため、安全委員会をオンライン化することで社内講和のオンライン化も可能になります。法令で整備されたこの機会に、安全衛生委員会のオンライン化を検討してみてもよいかもしれません。

健康診断のオンライン化は不可だが延期可能

健康診断は直接実施するものばかりであるため、オンライン化は不可能です。健康診断の際は、3密に十分注意しながら実施する必要があるため、うがいや手洗い、マスクの着用、間隔の確保などにこれまで以上に留意をしましょう。

2020年6月末までの期間に健康診断を延期した場合、で2020年10月末までの実施が呼びかけられております。なお、健康診断実施機関の予約が取れないなどの様々な事情により2020年10月末までの実施が困難な場合は、可能な限り早期に実施できるよう計画を立て、それに基づき実施する必要があります。

直接受けることが必要な健康診断のオンライン化は不可能ですが、延期することは可能なため、感染には十分注意した上で実施するようにしましょう。

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