36協定の残業時間上限、80時間以上の会社が5割

法定労働時間以上の時間(1日8時間、週40時間)を超えて残業をさせる場合に締結する必要のある36協定。その残業時間に関する調査を朝日新聞が独自で調査を行っていました。

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5割を超える企業で80時間以上で締結

朝日新聞では東証一部上場の225社に対して36協定の残業時間規定に関する調査を行った結果「過労ライン」とされる80時間以上に定めている会社が125社と過半数を占めました。さらに100時間以上に定めている会社が41社と全体の25%となり、依然として残業時間軽減の取り組みはなかなか進んでいないという実態が見えます。

2019年に政府が残業時間を100時間未満にするという罰則付き上限規定を導入する予定にしており、36協定の見直しが必要になってきます。

36協定の残業時間規定は無制限?

36協定を締結せずに法定労働時間以上の労働をさせることは労働基準法に違反します。36協定の残業規定は無制限でも大丈夫と思われる企業がありますが、36協定で締結する残業時間は無制限ではありません。ただし、現状の法律の規定ではグレー部分とされており、36協定の残業時間規制は非常にあいまいなものになっています。

原則時間外労働時間は下記のように定められています。

原則 変形労働時間制の労働者
1週間 15時間 14時間
2週間 27時間 25時間
4週間 43時間 40時間
1か月 45時間 42時間
2か月 81時間 75時間
3か月 120時間 110時間
1年間 360時間 320時間

ただし、36協定に「特別条項」を付けることにより、この上限時間を上回る時間外労働の従事が可能となります。
導入に当たっては、次の要件を満たしていることが必要です。

特別条項規定

  • 1:原則となる延長時間(限度時間以内の時間)を定めること。
  • 2:限度時間を超えて時間外労働を行わなければならない“特別の事情”をできるだけ具体的に定めること。
  • 3:一定期間の途中で特別の事情が生じ、原則としての延長時間を延長する場合に労使がとる手続を、協議、通告、その他具体的に定めること。
  • 4:限度時間を超える一定の時間(延長時間)を定めること。

出典:特別条項付き36協定-就業規則変更作成センター

実際「臨時的」という条件で原則上限を超える期間は半年以内でなければなりません。

賃金面でも法定の限度時間を超える部分の割増賃金率は、法定割増賃金率である25%を超える率となるように努め、1か月60時間を超える時間外労働となる場合には50%以上の割増しとするか、労使協定を締結することにより割増賃金の引上げ分に相当する代替休暇を与えるか、いずれかの措置を講じる必要があります。

現在中小企業では「60時間を超える時間外労働の場合の割増賃金率」は、適用が猶予されていますが、平成31年でその猶予期間は終了しますので注意が必要です。

36協定の見直しも始まっている

今回の朝日新聞の調査にもある通り36協定での残業時間が80時間を超える企業が多い現状の中で、政府による働き方改革の一環として36協定の見直しがすすんでいます。特に残業時間の規定見直しは進んでおり、知らなかったではすまされないケースもでてきます。

日々変わる労働規定をチェックして労務リスクの削減に備える必要があります。

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