うつ病で休職中の社員から産前休業の申請があった場合、請求通りに手当を与える必要があるのかをお伝えします。
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法定の制度なので休職中でも請求できる
私傷病休職 | 法律上の定めはなく、その有無や内容(休職要件、休職期間、復職要件等)については、就業規則などで定められます。 ※私傷病休職者の者でも産前産後休業、育児休業を取得することができます。 |
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産前産後休業 | 産前休業は、6週間(多胎妊娠の場合は14週間)以内に出産する予定の女性が休業を請求した場合において必ず与えられます。 産前産後休業の間およびその後30日間は解雇が禁止されています。 |
育児休業 | 労働者は男女を問わず、養育する1歳未満の子について、事業主に申し出ることにより、育児休業をすることができます。 ※1歳以上の子についても、一定の要件のもと育児休業ができる場合があります。 |
ポイント:私傷病休職者の者でも産前産後休業、育児休業を取得することができます。その場合、出産手当金については支給調整がされます。
私傷病休職
私傷病休職について法律上の定めはなく、その有無や内容(休職要件、休職期間、復職要件等)については、就業規則などで定められることがあります。
産前産後休業
産前産後休業は、労働基準法(以下「労基法」)に定めがあります。産前休業は、6週間(多胎妊娠の場合は14週間)以内に出産する予定の女性が休業を請求した場合において必ず与える必要があります(労基法第65条第1項)。
また、産後休業は、産後八週間を経過しない女性に必ず与える必要がありますが、産後六週間を経過した女性が請求した場合において、その者について医師が支障がないと認めた業務に就かせることは、差し支えありません(労基法第65条第2項)。産前産後休業期間中は無給でも構わないとされています。また、産前産後休業の間およびその後30日間は解雇が禁止されています(労基法第19条)。
育児休業
労働者は男女を問わず、養育する1歳未満の子について、事業主に申し出ることにより、育児休業をすることができます(ただし例外あり)(育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(以下「育介法」)第5条)。
また、1歳以上の子についても、一定の要件のもと育児休業ができる場合があります。事業主は労働者が育児休業申出または育児休業したことを理由として、解雇その他不利益取り扱いをしてはならないとされています(育介法第10条)。
育児休業給付金は、
- 1歳未満の子どもがいる場合
- 1か月ごとに休業開始前の賃金の8割以上の賃金が支払われていない場合
- 就業日数が各支給単位期間に10日以下である場合
これらの要件を満たす場合に、休業開始時賃金日額×支給日数×67%(当初6か月、その後は50%)相当額が支給されます。
それぞれの関係
私傷病休職は就業規則で定められることがある制度ですが、産前産後休業、育児休業は法定の制度です。それぞれ労働義務の免除だけでなく、解雇制限や不利益取り扱いの禁止等が定められています。そのため、私傷病休職期間であっても、労働者は産前産後休業および育児休業を取得して、労基法上および育児・介護休業法上の保護をうけることができます。
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産休・育休の請求があった場合に企業が行うべき手続きは?
それぞれ必要な請求は?
産休と育休は、段階的に手続きが必要です。
【産休に必要な手続き】
産休期間は産前6週間(双子以上の場合14週)、産後8週で合計14週です。産後6週間の産休は必須ですが、他の期間は従業員の希望によっては働くことができます。また、産休中および産後30日間は解雇できません。
出産前に必要な届出は「産前産後休業取得者申出書」と「出産手当金支給申請書」の2つです。健康保険料と厚生年金保険は、産前産後休業取得申出書を日本年金機構と健康保険組合に提出することで免除されます。従業員負担と企業負担の両方が免除されるため、必ず提出するようにしてください。
出産手当金の申請は本人、または企業が行います。申請をすることで健康保険の加入者に賃金の3分の2程度が健康保険から支払われる制度で、産休中に一括で申請する以外に産休前後に分けて申請することも可能です。申請期限は産休開始日から2年です。
【育休に必要な手続き】
育休は育児・介護休業法で1歳未満の子どもを養育するための休業です。子ども1人につき1回利用でき、産休後の翌日(産後57日目)から子どもが1歳を迎えるまでの間が対象期間です。1歳の誕生日時点で保育所の入所が難しい場合は、1歳6か月までの延長が認められています。
育休の手続きには「育児休業申出書」を受理後、「育児休業取扱通知書」を従業員に交付します。育児休業等取扱申出書を日本年金機構と健康保険組合に提出することで、社会保険と厚生年金保険が免除されます。
また、育児休業開始後は育児休業給付金の申請があります。育休中は雇用保険や厚生年金から育児休業給付金を受け取ることができます。厚生年金の手続きには「厚生年金保険養育期間標準報酬月額特例申出書」を企業経由で年金事務所に提出しなくてはなりません。
雇用保険の場合は以下の3つを、事業所の所轄する公共職業安定所に提出します。
- 育児休業給付受給資格確認票(初回の場合)
- 育児休業給付金支給申請書
- 被保険者休業開始時賃金月額証明書
なお、2回目以降は育児休業給付受給資格確認票の提出が不要です。申請書には本人記載後に企業が提出する必要があるため、内容に不備がないかを十分に確認しましょう。
健康保険料と厚生年金の支払いは将来の年金支払額にも影響を与えます。未提出だと保険料が未納扱いになってしまうので、注意してください。
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