ストレスチェックって本当にどの事業所も実施しているの?

2015年12月より始まったストレスチェック(正式名称:労働者の心理的な負担の程度を把握するための検査」。ストレスチェック制度が義務化され、従業員50人以上の企業はストレスチェックを実施しなければなりません。(50名以上の定義について詳しくはストレスチェック、派遣やアルバイルトは対象者?)。

もし行わなかった場合の罰則などはあるのでしょうか。

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義務化されたが、現在罰則規定はなし

「労働安全衛生法」にも、その罰則についての記載はなく、実施しないことに対する罰則はありません。ただし、実施したにも関わらず労基署へ報告しないことには下記の罰則があります。(※2017年10月現在)

労働安全衛生法第100条には「心理的な負担を把握するための検査結果等報告書」という届けの提出が義務付けられています。この報告は、企業単位で行うのではなく、事業場ごとの報告が義務づけられています。

労働安全衛生法第100条に違反した場合は、罰則規定により、50万以下の罰金に処せられることになります。

では、罰則がないからとストレスチェックをやらないと判断した場合にありうるリスクはあるのでしょうか。

社員がメンタルで支障をきたした場合が問題になる

50名以上の事業所でストレスチェックを実施せず、労働者が精神疾患などにかかった場合は、「安全配慮義務違反」となる可能性があります。その場合は多額の賠償金の支払いが必要となる場合があります。事前にもしストレスチェックをやっていれば防げた事態かもしれません。

もし過労死やメンタル疾患で自殺した社員がいた場合、企業はどれくらいの金額を払うことになるのでしょうか。先日あった三菱電気の新入社員による自殺問題では自殺した社員の両親が会社を相手取り1億1千8百万円の損害賠償を求めて東京地裁に提訴を起こしています。

損害賠償の問題だけではなく、企業イメージも低下するためその損害は計り知れません。そういったメンタル疾患社員による労務リスクを減らす為の予防策としてストレスチェックがあげられます。

では実際ストレスチェックを行っている企業はどれくらいいるのでしょうか。厚生労働省によって平成29年7月にあげられた調査報告の内容をお伝えします。

50名以上の企業の約83%が実施

平成 29 年6月末現在(以下、同じ)、ストレスチェック制度の実施が義務付けられた事業場のうち、所轄の労働基準監督署に実施報告書の提出があった事業場※1は約 83%。

事業所規模によって実施%に差があり50名~99名では78.9%であるのにくらべ1000人以上の事業所では99.5%となっています。また最近では弊社へお問い合わせ頂く企業の中には50名未満でのストレスチェックのご希望や産業医の選任依頼が多く、メンタルヘルス対策への意識が高まっており、現在50名~99名の実施数値もあがっていくものと予想されます。

業種にも実施結果に差があり、通信業では92%の実施率に対して、接客娯楽業は68%、清掃・畜業は67%と実施率が低くなっています。

データの中でも興味深いのは、ストレスチェック実施後面談を行ったのはわずか0.6%しかおらず、1000人の事業所でもたった6名程度です。一般的は高ストレス者は組織の10%程度いるといわれているため高ストレス者なのに面談を希望しないという高ストレス者が94%いるという計算となります。

事業者は、ストレスチェックの結果、高ストレス者として選定された者であって、医師による面接指導を受ける必要があるとストレスチェック実施者が認めた者のうち、労働者から申出があった者について、医師による面接指導を実施しなければならないとされていますが、面談を希望しないとだれが高ストレス者かがわからないため、高ストレス者の面談希望者を増やすことにどの企業も課題感があると言えます。

ストレスチェック後の面談者を増やす為には日常的な窓口を

厚生労働省の指針には「事業所は、ストレスチェック結果の通知を受けた労働者に対して、相談の窓口を広げ、相談しやすい環境を作ることで、高ストレス状態で放置されないようにする適切な対応を行う観点から、日常的な活動の中で当該事業所の産業医が相談対応をおこなうほか、産業医と連携しつつ、保健師、看護師、若しくはは精神保健福祉又は、産業カウンセラー若しくは臨床心理士等の心理職が相談対応を行う体制を整備することが望ましい」と続きます。

弊社の産業医山岸医師も「日常的な相談窓口を設置し普段から接触回数を増やすこと」と推奨しています。(40代のストレス因子は「相談できない環境」にあった)

従業員の中には会社に面談したことを知られたくないというケースも多いため、いつでもオープンにしている相談窓口に気軽に相談にいける環境づくりをしていくということも一つの案としてあげられます。その場合は、産業医やEAP業者との連携が考えられます。

まだ、窓口を設けていない会社はこういった窓口を設けることを検討してはいかがでしょうか。

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